平成元年度の租税特別措置法改正では、青色申告をする一定の個人・法人が取得する特定事務用機器について、取得価額の全額まで必要経費・損金に算入できる特例が設けられました。対象期間は平成元年4月1日から平成2年9月30日までです。
図表1 機器と取得価額の条件
| 機器 | 取得価額の上限 | 対象範囲 |
|---|---|---|
| 電子式の金銭登録機 | 100万円以下 | 一定の中小企業者等・法律で指定する対象者 |
| 電子計算機本体 | 160万円以下 | 一定の中小企業者等。本体と同時取得する附属入出力装置を含む |
図表2 個人と法人の処理の対応
| 主体 | 法の規定 | 処理 |
|---|---|---|
| 青色申告の個人 | 第12条の3 | 事業の用に供した年に取得価額まで必要経費算入 |
| 青色申告の法人 | 第45条の3 | 事業の用に供した事業年度の償却限度額が取得価額相当となる |
「100万円の税金が減る」という制度ではありません。対象機器の取得価額をその年・事業年度の費用として計上できる仕組みです。通常は複数年にわたる償却費を早期に認めるため、費用を認識する時期が変わります。
図表3 80万円のレジを取得した例
| 項目 | 金額・確認 |
|---|---|
| 取得価額 | 80万円 |
| レジの価額上限との比較 | 100万円以下 |
| 特例による費用算入限度 | 80万円 |
| 算入限度と節税額 | 同じ金額ではない |
図表4 適用の確認手順
施行前の取得に関する経過措置
附則第5条第7項(個人)・第10条第11項(法人)は、平成元年3月1日から3月31日までに取得または製作した対象機器を、同年4月1日から4月30日までに事業の用に供した場合、4月1日に取得・製作したものとみなす措置を設けています。施行前に購入したという理由だけで、一律に対象外になるわけではありません。
| 取得・製作 | 事業供用 | 経過措置 |
|---|---|---|
| 平成元年3月1日~31日 | 同年4月1日~30日 | 4月1日の取得・製作とみなす |
| 上記以外 | 上記以外 | この経過措置では判定できない。通常の条件を確認 |
関連する条文整備
特例の新設に伴い、旧第45条の2の次に第45条の3が追加され、他の条文の参照先も調整されました。単なる条番号変更と、取得価額の全額を費用化する新制度は区別して読む必要があります。
一次資料
衆議院・平成元年法律第12号(新設の第12条の3、第45条の3)。当時の制度の説明であり、現在の少額減価償却資産特例とは別の履歴です。







