個人所得課税

平成元年度・株式譲渡益課税|原則非課税から分離課税への転換

平成元年4月1日以後の株式等の譲渡では、原則非課税だった譲渡益が課税対象となりました。昭和63年の抜本的税制改革に基づく施行事項です。当時の上場株式等には、申告分離課税と源泉分離課税の選択が設けられました。

図表1 変更の骨格

項目改正前平成元年4月以後
株式等の譲渡益原則非課税。一部の継続的取引・大口譲渡等は課税原則課税
上場株式等の一般的な取扱い原則非課税申告分離課税または源泉分離課税を選択
財務省『平成財政史』表2-3-2を基に整理。例外・特例の全条件は省略。

図表2 二つの課税方法

方法計算の基礎当時の税率
申告分離実際の譲渡益所得税20%+住民税6%=26%
源泉分離(通常の上場株式の現物取引)譲渡代金の5%を所得とみなすみなし所得×20%=譲渡代金の1%
当時の制度。転換社債・信用取引には別の計算があり、公開前取得株式の公開後1年以内の譲渡などには選択の制限がある。

申告分離課税は利益の大きさを基にします。これに対して当時の源泉分離課税は、一定の現物取引について売却代金を基にする計算でした。同じ売却代金でも取得価額が違うと、二つの方法の比較結果が変わります。

図表3 売却代金100万円で利益が異なる例

取得価額譲渡益申告分離の税額(26%)源泉分離の税額(代金の1%)
95万円5万円13,000円10,000円
80万円20万円52,000円10,000円
60万円40万円104,000円10,000円
編集部による仮定計算。譲渡代金は各例100万円、取得価額以外の費用・特例・端数処理を省略し、両方式を選択できる通常の上場株式の現物取引を仮定。

図表4 計算基礎の違いを図解

申告分離:売却代金 − 取得価額等 → 譲渡益 → 26%
当時の源泉分離:売却代金 → 5%を所得とみなす → 所得税20%
通常の上場株式の現物取引を使った模式図。現在の源泉徴収あり特定口座の計算を表す図ではない。

歴史を読む際の注意

「原則課税への転換」と「徴税方法の選択」を分けて読むと、改革の意味が見えます。この源泉分離課税と、後年の特定口座による源泉徴収は制度が異なります。当時の26%や売却代金の1%を現在の株式売却に適用することはできません。

資料

図表は独自整理と仮定計算。平成元年度に始まった制度の説明です。

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