平成4年度税制改正

平成4年度の金融税制|財形と端株の改正

地球儀をスーツケースに入れようとする日本人会社員

平成4年度(1992年度)の金融・証券税制では、海外転勤者の財形住宅・財形年金貯蓄の非課税継続期間が5年から7年へ延長されました。また、上場株式等の源泉分離選択課税に、発行法人への端株の譲渡が加えられています。大きな税率変更だけを探すと見落としやすい、貯蓄の継続と株式の処分に関する改正です。

この記事では、当時の改正点と確認手順を整理します。平成4年度という改正年度、平成3年12月の与党大綱、個々の制度が適用される日を分けて読むことで、現在の財形や証券口座の取扱いを過去へ当てはめる誤りを防げます。

平成4年度の金融・証券税制の改正点

中心となるのは、海外転勤中の貯蓄の非課税の扱いと、端株を売る際の課税方法です。対象者も対象取引も異なるので、まず自分が調べたい制度を切り分けましょう。

項目従来平成4年度の改正
海外転勤者の財形住宅・年金貯蓄非課税継続適用期間は5年7年へ延長
発行法人に対する端株の譲渡源泉分離選択課税の対象に含める改正前上場株式等に係る対象へ追加
端株の譲渡に関する適用日取引日で区分平成4年4月1日以後の譲渡

「非課税」と「源泉分離選択課税」は別の仕組みです。後者は、売却益が無条件に非課税になるという意味ではありません。

海外転勤時の財形は5年から7年へ

海外へ転勤しても、対象となる財形住宅貯蓄・財形年金貯蓄の非課税を継続できる期間が延びました。長期の赴任によって、国内で続けてきた貯蓄の税務上の扱いが途切れる問題に対応する改正です。

一般財形や普通預金と分けて確認する

改正資料が対象としているのは、勤労者財産形成住宅・年金貯蓄の利子所得等の非課税制度です。一般財形や、日常の生活費を管理する普通預金まで、一律に7年間非課税とする改正ではありません。

通帳の表紙に「財形」とあっても、契約の種類まで確認することが大切です。銀行口座を保有できるかという金融機関の手続きと、利子等を非課税にできるかという税務上の条件も分けて整理します。

6年間の赴任を例に考える

改正後の条件を満たす海外転勤者が6年間赴任する場合、従来の5年という期間では途中で期限の問題が生じました。7年への延長によって、期間という観点では6年間を収められるようになります。ただし、契約の内容や届出などの要件を無視してよいわけではありません。

  • 契約の種類を特定する:財形住宅貯蓄か財形年金貯蓄かを、契約書や勤務先の記録で確認します。一般財形の利子の扱いと混ぜないことが、資料を読む出発点です。
  • 海外転勤の期間を整理する:出国・帰国の日付を確認し、当時の制度でどの時点から期間を計算するのかを調べます。「7年」という数字だけで結論を出すと、手続きや起算の違いを見落とします。
  • 当時の手続きと契約を照合する:非課税の継続に必要な届出や管理方法は、当時の条文・金融機関の記録で確かめます。現在の案内だけを使って、1992年の手続きが同じだったと判断しないようにします。

端株の譲渡を源泉分離選択課税へ追加

上場株式等に係る譲渡所得等の源泉分離選択課税の対象に、商法に基づく発行法人への端株の譲渡が加えられました。通常の売買とは異なる端株の処分について、当時の課税制度との整合を図ったものです。

対象は発行法人への端株の譲渡

資料の対象は「端株」と「発行法人への譲渡」です。現在の単元未満株のサービスを思い浮かべて、あらゆる少額の株式売却が同じ扱いだったと考えないことが大切です。保有した権利の種類と、誰に譲渡したかを確認します。

例えば古い株式関係書類に端株の買取代金が記載されている場合には、取引の相手方が発行法人か、譲渡日が改正後かを先に確認します。その後、当時の選択課税の要件と税額計算を調べる順序が適切です。

平成4年4月1日以後の譲渡から適用

要綱では、平成4年4月1日以後に行う上場株式等の譲渡について適用するとしています。平成4年度という名称から、平成4年1月1日からの全取引へ遡ると判断することはできません。

確認する事実確認する理由
株式・端株の権利の内容当時の商法上の対象かを判別する
譲渡の相手方発行法人への端株の譲渡に該当するか確認する
譲渡日平成4年4月1日以後の取引か区分する
当時の課税方法・選択手続き現在の特定口座の制度と混同せず税額を確認する

改正年度・公表日・適用日を区別する

制度の沿革を調べる際は、決定日と適用日を分けると理解しやすくなります。与党大綱は改正の方針を示し、要綱や改正法によって具体的な条件を確認します。

段階時期読み方
自由民主党の平成4年度大綱平成3年12月19日与党が示した改正方針
税制改正の要綱平成4年1月10日政府の具体的な改正案
端株に関する改正の適用平成4年4月1日以後実際の取引を区分する日

財形の非課税期間と端株の課税方法を別々に整理し、契約・取引相手・日付を資料と照合すれば、平成4年度の金融税制を具体的に理解できます。記事の公表日と実際に制度を使う日を同一視しないことが、過去の税務を調べる基本です。

出典:平成4年度税制改正の要綱、租税特別措置法の一部を改正する法律(平成4年法律第14号)、岐阜県歴史資料館・平成4年度税制改正大綱の資料記録。この記事は当時の改正を説明しています。

関連記事

  1. 日本人の会社員が天秤に家の模型と封筒を載せて考える、所得税と控除のバランスを表す写真 令和8年度税制改正|所得税の要点
  2. 法人の一般の土地譲渡益に対する追加課税制度に対する新措置の創設
  3. ベンチャー投資などに対する後押し
  4. 居住用財産に関する様々な特例の適用創設・延長
  5. 外国人旅行客、消費税の免除対象を拡大
  6. 割引債の差益に対する源泉徴収特例の再検討
  7. 不動産取得税に関する新措置の適用期限の延長・廃止
  8. 本人確認書類提出の簡略化
PAGE TOP