平成3年度税制改正

平成3年度の証券税制|JR株と特例

平成3年度の証券税制を調べるときは、株式の譲渡による所得の課税方式と、有価証券取引税の納付に関する特例を分けて読むことが大切です。要綱には、JR・NTTの一定の株式売却を源泉分離課税の選択対象へ加える措置と、単位未満株式の取引税の納付特例の見直しが記載されています。

いずれも、株式の名前や保有株数だけで適用できると判断するものではありません。この記事では、対象となる取引の条件と、古い証券取引資料で確認したい事項を整理します。

株式の2つの特例を分けて理解する

今回の株式関係の措置は、同じ売却を扱う場合でも税の種類と変更点が異なります。まず何の税について、何が変わったかを整理すると、非課税措置との混同を防げます。

措置変更する対象要点
JR・NTT株式の一定の譲渡源泉分離課税を選択できる株式の範囲上場前取得と上場後の譲渡期限等を確認
単位未満株式の一定の譲渡有価証券取引税の納付特例の対象商法に基づく発行法人への譲渡を追加

「選択できる対象に加える」ことと「売却による所得を非課税にする」ことは異なります。また、取引税の納付手続に関する特例を、譲渡所得の課税方式そのものの説明として使うこともできません。

JR・NTT株式は取得と譲渡の時期を確認

要綱では、旅客鉄道株式会社および日本電信電話株式会社が発行する株式について、一定の条件を満たすものを源泉分離課税の選択が認められる株式の範囲に加えるとしています。重要なのは、会社の名前とともに取得・譲渡の条件が書かれている点です。

上場前の取得と上場後1年以内の譲渡

示されている条件は、上場等の日以前に取得した株式で、上場等の日以後1年以内に譲渡する場合です。したがって、上場株式になった後に取得した株式や、上場から長期間たって譲渡した株式を、今回の記載だけで同じ対象と扱うことはできません。

取得日を確認 → 上場等の日を確認 → 譲渡日を確認
上場等の日以前の取得か/上場等の日以後1年以内の譲渡か
銘柄名と合わせて確認する3つの日付

銘柄名だけで選択の可否を決めない

例えば、同じ会社の株式を2回に分けて取得し、一方が上場前、もう一方が上場後だったとします。その場合、同じ銘柄を保有していても取得の経緯は異なります。取得記録を分けて確認し、会社名が一致するから全数量を一括して今回の対象と判断しないようにしてください。

ここで示すのは選択対象の範囲に関する改正です。選択方法、税額の計算、適用される時期や手続を調べる際には、当時の法令・附則と証券会社の取引記録を照合します。現在の源泉徴収ありの口座の説明を、そのまま当時の制度の説明として置き換えないことが大切です。

単位未満株式は取引税の納付特例を拡大

単位未満株式については、有価証券取引税の納付の特例の対象に、商法の規定に基づき発行法人へ譲渡する株式を加える内容です。これは株式の売却先と法的な取引の根拠を確認する必要がある改正です。

少ない株数の売却がすべて同じ扱いになるわけではない

例えば、少数の株式を売却したという記録だけでは、発行法人への商法に基づく譲渡か、別の方法による売却かは分かりません。株数だけで判断せず、買取請求などの関係書類、売却先、取引日を確認します。

また、納付特例の対象が追加されたことを、株式の譲渡所得もすべて免税になるという意味に読むことはできません。所得に対する税と有価証券取引税を分けて資料を整理すると、何の処理が変わるかを確認しやすくなります。

民間国外債の非課税特例は2年延長

金融関係では、民間国外債の利子および発行差金の非課税特例の適用期限を2年延長する内容も要綱に記載されています。株式の選択対象の追加とは異なり、既存の債券の特例について期限を延ばす措置です。

特例の名称に国外債が含まれているからといって、国内で購入するすべての債券の利子が非課税になるわけではありません。調べている債券が特例の対象かを、発行に関する資料と当時の要件で確認します。「どの特例か」と「期限を何年延ばしたか」を別の欄に書くと、変更点を整理しやすくなります。

当時の資料は取得日・上場日・売却先を照合

平成3年度の金融・証券税制では、対象範囲の追加と期限の延長が並んでいます。古い取引資料を確認する際には、次の手順で情報をそろえてください。

  • 株式と債券の資料を分けます。JR・NTT株式の選択対象の追加、単位未満株式の取引税の納付特例、民間国外債の利子等の特例は別の措置です。同じ金融資産の資料として一括せず、どの制度を調べているかを明記します。
  • 株式は取得と譲渡の経緯を確認します。取得日、上場等の日、譲渡日を取引報告書などで照合します。複数回取得しているときは、銘柄名だけにまとめず、それぞれの記録を残します。
  • 単位未満株式は売却先と手続を確認します。発行法人への譲渡であることと、その法的な根拠を関係書類で確認します。株数が少ないという説明だけでは、今回追加された特例の対象かを判断できません。
  • 施行時期と当時の手続を確認します。年度の要綱で変更点をつかんだ後、法令・附則や申告記録を照合します。現在の口座区分や税率から、過去の選択や納付の処理を推測しないようにしてください。

今回の改正は、株式の条件付きの対象追加と、債券の特例の期限延長を分け、取得・上場・譲渡の記録をそろえると理解しやすくなります。

出典

改正内容は国税庁「平成3年度統計年報書」付録・税制改正の要綱(その他および特例の延長)を参照しています。本記事は当時の改正を振り返るものです。

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