国際課税ではBEPSの議論を踏まえた移転価格文書化が大きな変更です。海外子会社との価格が適正であることを、申告時点で説明できる資料として整える必要があります。
この記事は2015-12-16に公表された平成28年度の与党税制改正大綱をもとに、国際課税の主な変更を整理したものです。大綱は改正の方針であり、その後の法案成立や施行とは段階が異なります。与党の公表資料で当時の内容を確認できます。
移転価格の文書化制度を整備
変更点を読むときは、対象となる人・会社・取引と、何が変わるかを先に整理すると分かりやすくなります。新設、延長、要件変更、検討事項を同じ扱いにしないことがポイントです。
制度の対象と変更点
多国籍企業情報を国別報告事項、事業概況報告事項、独立企業間価格を算定する書類へ分けて整備する方針です。グループ全体の情報と個別取引の資料は目的が違うため、一つの資料で全部を代用できません。
併せて押さえたい仕組み
ローカルファイルの同時文書化は一定規模の国外関連取引を対象とします。前年度の取引額等による基準があるため、海外子会社が存在するという理由だけで同じ義務が一律に生じるわけではありません。
| 確認する順序 | 確認する内容 |
|---|---|
| 1.主な変更 | 移転価格の文書化制度を整備 |
| 2.対象の判定 | 本人・家族・会社の区分、対象財産や取引、所得や金額の条件 |
| 3.時期の判定 | 各文書の対象となる開始事業年度や提出期限が異なります。大綱公表日と適用開始日を分けて確認します。 |
| 4.記録と申請 | 取得・支払・贈与等の事実を示す資料と、制度ごとの申告・届出 |
自分への影響を具体例で確かめる
制度名が似ていても、誰が何をしたかによって適用関係は変わります。次の例のように、自分の事実を制度の条件へ一つずつ対応させると、次に調べる点が明確になります。
判断の例
日本本社と海外販売会社の取引では、契約書、機能・リスク、比較対象、価格計算を年度内に整理します。調査が始まってから関係者の記憶だけで説明するより、決定過程を残す方が明確です。
準備する情報と確認先
- 事実と日付をそろえる。金額だけでなく、契約、取得、支払、贈与などがいつ行われたかを記録します。複数の年度にまたがる場合は一覧にし、対象期間に入るかを判定します。
- 必要な手続きを確かめる。申告や届出、認定を要する特例は、対象条件を満たしていても手続きの確認が必要です。原本の注記と、申告先・金融機関・認定窓口が案内する書類を対応させます。
- 他の制度との関係を確認する。別の特例との選択、併用、控除上限などがある場合、制度を一つずつ計算してから比較します。名称だけから同時に使えると推測しないことが重要です。
改正年度と適用時期を区別する
「平成28年度の改正」は、すべての変更がその年の1月や4月から適用されるという意味ではありません。公表、法改正、施行、適用の順に確認すると、過去の資料を誤って現在の取引に使うことを防げます。
見落としやすい点
各文書の対象となる開始事業年度や提出期限が異なります。大綱公表日と適用開始日を分けて確認します。
実際の申告では、対象となる年分・開始事業年度等の法令と、その後の改正を照合してください。まず当時の変更内容を理解し、次に自分の対象時期を確かめる順序で進めると、必要な資料と手続きを整理できます。







