平成3年度の資産課税では、土地を保有すること、売却すること、農地を相続することについて見直しが行われました。中心となる地価税は平成3年度改正で創設されましたが、適用は平成4年からです。「改正年度」と「実際に課税される年」を分けて読む必要があります。
この記事では、地価税の評価と控除、個人の土地譲渡に関する一般税率と特例、農地の相続に関する変更を整理します。当時の資料を調べる際に、どの数字と日付を確認するかが分かるように説明します。
保有・譲渡・相続を分けて読む
同じ土地でも、税金を計算するきっかけや基になる金額は異なります。制度名だけをまとめるよりも、土地について何が起きたかを先に整理すると、資料の混同を防げます。
| 場面 | 主な制度 | 確認する金額・事項 |
|---|---|---|
| 土地等を保有 | 地価税 | 評価額、非課税部分、基礎控除 |
| 土地等を売却 | 譲渡所得の課税 | 売却代金と費用、保有期間、適用する特例 |
| 農地を相続 | 相続税の納税猶予の特例 | 所在地域、農地の区分、農業継続、相続日 |
例えば、固定資産税の通知にある金額と、土地を売った代金は別の資料です。地価税については当時の相続税評価を確認する必要があります。土地の金額をすべて同じものと考えず、どの制度で使う数字かを確認してください。
地価税は平成4年から適用
地価税の要綱は、国内にある土地や借地権等を有する個人・法人を対象とし、各年1月1日を課税時期としています。平成3年度の改正内容でも、平成4年の課税時期に係る地価税から適用する点が重要です。
評価額から非課税と基礎控除を確認
要綱では、土地等を課税時期の時価により評価し、その時価は相続税評価額によるとしています。さらに非課税となる土地等や課税価格の特例があるため、単に買った価格へ税率を掛ける制度ではありません。
基礎控除は、原則10億円という定額と、一定の面積を基に計算する額を比べ、大きい方の金額を使う仕組みです。個人や一定の法人については定額が15億円になります。法人の区分や借地権、課税価格の特例によって扱いが変わるため、当時の規定を確認します。
2種類の控除額を合計して引かない
例えば、適用する定額が15億円、面積に基づく計算額が18億円と仮定すれば、比べるのは15億円と18億円です。大きい方の18億円を選ぶのであって、合計33億円を引くという説明にはなりません。この例は選択の仕組みを示すもので、個別の土地の控除額を判定するものではありません。
| 税率 | 要綱の内容 |
|---|---|
| 本則 | 0.3% |
| 平成4年 | 0.2% |
仮に控除後の課税対象額が1億円なら、0.2%を掛けた計算額は20万円、0.3%なら30万円です。保有している土地の全評価額ではなく、非課税や控除等を確認した後の金額で考えることが要点です。
土地譲渡は一般税率と特例を分ける
個人の土地の長期譲渡所得については、一般の譲渡に対する所得税率を一律30%へ引き上げる改正が行われました。一方で、特定の譲渡に関する軽減措置も見直されています。一般税率だけで、すべての土地売却を判断しないことが大切です。
| 区分 | 主な改正 | 注意点 |
|---|---|---|
| 一般の長期譲渡 | 所得税30%。住民税9%と区別 | 売却代金そのものに30%を掛ける説明ではない |
| 優良住宅地の造成等のための譲渡 | 所得税率20%から15%へ引下げ、適用期限を5年延長 | 対象となる譲渡と各要件を確認 |
| 居住用財産の特例 | 所得税10%が適用される特別控除後の譲渡益の範囲を4,000万円から6,000万円へ | 平成4年1月1日以後の譲渡から適用する改正 |
売却代金と譲渡所得は同じではない
仮に、当時の一般の長期譲渡に係る課税対象となる所得を1,000万円とすれば、所得税30%の計算額は300万円です。住民税9%の計算額90万円は別に確認します。この例は税率の違いを示すもので、売却代金1,000万円なら必ず390万円の税になるという意味ではありません。
実際には取得費や譲渡費用、特別控除、所有期間などを確認します。居住用や優良住宅地の特例を使えるかによっても計算が変わるため、売値だけを見た試算は避けてください。現在の長期譲渡所得の税率を、当時の売却にそのまま当てはめることもできません。
農地の相続特例は対象範囲を確認
農地に関する相続税の納税猶予も見直されました。地価税とは別の制度なので、土地を持っているという事実だけで同じ条件を当てはめず、所在地域や農地の区分、農業を続ける条件を確認します。
この改正を調べる際は、三大都市圏の特定の市街化区域内農地と、生産緑地地区内で営農を継続する農地の扱いを区別する必要があります。すべての地域の農地について一律に納税猶予がなくなったと読むと、対象範囲を取り違えます。
要綱は、引き続き納税猶予の適用を認める当該地域の農地について、20年営農による相続税免除の特例の廃止や農業収入等の書類提出を求める見直しを記載し、平成4年1月1日以後の相続又は贈与から適用するとしています。古い相続の記録を確認する場合には、相続日と当時の地域・農地の区分をそろえて調べてください。
過去の資料は金額と日付をそろえて照合
平成3年度の土地関連改正は、制度によって計算の基になる金額も適用時期も異なります。資料を次の順に整理すると、どこまで分かり、何を追加確認する必要があるかが明確になります。
- 土地の状況を整理します。保有、売却、相続のどの場面かを記録します。複数の出来事があるときは、それぞれの資料を別にまとめ、同じ土地だから同じ税になると考えないようにします。
- 金額の名称を残します。相続税評価額、売却代金、譲渡所得、控除後の課税対象額を区別します。数値だけを書き写すと、どの段階の金額か分からなくなるためです。
- 改正年度と適用日を並べます。地価税の平成4年開始のように、年度名と開始年が異なるものがあります。契約書、相続の記録、当時の附則を照合し、改正前後のどちらを使うか確認します。
- 特例は要件ごとに確認します。一般税率と軽減税率、農地の納税猶予を一緒にせず、土地の用途、所在、保有期間などの情報を整理します。条件が分からない項目は、当時の申告書や自治体の資料を追加確認します。
土地を保有する税、売却による所得への税、農地を相続する特例を分け、金額の名称と対象の日付をそろえることが、平成3年度の資産課税を理解するための出発点です。
出典
改正の内容は国税庁「平成3年度統計年報書」付録・税制改正の要綱(土地税制)、経緯および所得税と住民税の区分は財務省「平成財政史」土地税制を参照しています。本記事は当時の改正を振り返るものです。






