平成元年(1989年)4月1日、日本で消費税が実施されました。基本税率は3%です。普通乗用車等には導入から3年間、6%の特例税率が設けられました。特定の商品やサービスに課税する従来の個別間接税を整理し、消費に広く負担を求める税体系へ移行しました。
成立年度と施行年度:消費税法は昭和63年法律第108号として成立しています。本記事は、平成元年度に始まった施行事項として整理します。平成元年度に新しく法律が成立したとする意味ではありません。
図表1 導入までの時間軸
図表2 税率3%の価格例
取引の各段階で税が累積しないしくみ
消費税では、売上げに係る税額から仕入れに係る税額を差し引く仕入税額控除が基本になります。これにより、商品の流通段階が増えるたびに同じ価値へ税を重ねることを避けます。
図表3 仕入税額控除の流れ
図表4 3段階の取引における計算例
| 事業者 | 税抜売上げ | 売上税額 | 控除する税額 | 納付税額 |
|---|---|---|---|---|
| 製造業者 | 100,000円 | 3,000円 | 0円 | 3,000円 |
| 卸売業者 | 150,000円 | 4,500円 | 3,000円 | 1,500円 |
| 小売業者 | 200,000円 | 6,000円 | 4,500円 | 1,500円 |
| 合計 | 最終価格200,000円 | ― | ― | 6,000円 |
導入時の中小事業者向け特例
新税の導入に伴う事務負担に対応するため、創設時から免税点制度・簡易課税制度・限界控除制度が用意されました。下表は当時の制度であり、現在の適用基準を示すものではありません。
図表5 創設時の特例を一覧で見る
| 制度 | 創設時の基準・内容 | 役割 |
|---|---|---|
| 事業者免税点 | 基準期間の課税売上高3,000万円以下 | 小規模事業者の納税義務を免除 |
| 簡易課税 | 基準期間の課税売上高5億円以下/みなし仕入率90%・80%の2区分 | 実際の仕入れに代えて一定率で控除税額を計算 |
| 限界控除 | その課税期間の課税売上高6,000万円以下 | 免税点を超えた付近の負担増を緩和 |
制度史上の位置付け
平成元年の導入は、所得・消費・資産の間で負担を配分する抜本改革の一部でした。その後の税率変更や特例の縮小は別年度の改正として追う必要があります。導入時の3%や免税点を現在の申告へそのまま当てはめることはできません。
一次資料
財務省・平成財政史「消費税その1」(353~354頁、357頁注2)。普通乗用車等の特例税率と売上高判定期間の補足に参照。
図表は上記資料を基に独自に整理。金額例は編集部の仮定計算です。制度説明は創設時点の内容です。








