平成2年度の法人課税は、製品輸入を増やす事業者への支援と、租税特別措置の整理がポイントです。輸入促進税制では、卸・小売業と製造業で使える措置が異なりました。会社の業種と輸入の増加額を確認してから、準備金、税額控除、割増償却のどれに当たるかを読む必要があります。
この記事は平成2年度の改正を振り返る歴史解説です。現在利用できる減税制度の案内としてではなく、当時の企業支援と特例の見直しを理解するために、政府要綱と国会会議録を整理します。
法人に関わる主な変更
新しい制度の創設と、既存の制度の廃止・縮減・延長を分けて見ると、改正の方向が分かります。特例が延長された場合も、対象や割合が従来どおりとは限りません。
| 項目 | 改正の方向 | 確認点 |
|---|---|---|
| 製品輸入促進税制 | 新設 | 業種、対象製品、輸入増加額 |
| 中小企業等海外市場開拓準備金 | 廃止 | 経過措置と既存積立額 |
| 研究開発等の特例 | 対象見直しと期限延長 | 新しい対象資産と期限 |
| 特別償却・準備金等 | 一部の割合や対象を変更 | 取得時期、対象設備、計算割合 |
製品輸入促進税制の仕組み
製品輸入促進税制は、対象製品の輸入を基準年度に比べ1割以上増加させた一定の事業者を支援する制度です。輸入金額の全額をそのまま控除できる制度ではありません。
卸・小売業は準備金の積立て
卸・小売業者には、輸入製品の国内市場開拓などの費用に備える準備金の積立てが認められました。積立限度額は、対象製品の輸入金額の基準年度からの増加額の20%相当額です。積み立てた準備金は翌期から5年間で均等に取り崩す仕組みでした。
準備金は、将来の支出に備える税務上の取扱いです。積立時の金額だけを見て恒久的な税の免除と考えるのではなく、後の取崩しまで含めて確認する必要があります。
製造業は税額控除か割増償却を選択
製造業者には、一定の税額控除と機械装置の割増償却の選択が示されました。税額控除は輸入増加額をもとに税額から差し引く方法で、割増償却は対象の機械装置の償却に関する方法です。二つを同じ費用に対して自由に重ねられるという意味ではありません。
割増償却と即時償却を混同しない
割増償却は、減価償却の仕組みの中で償却額を増やす措置です。資産の取得価額をその年にすべて費用にする即時償却と同じではありません。名称の「特別」や「割増」だけで効果を判断せず、対象資産と計算方法を読むことが大切です。
租税特別措置の整理
平成2年度には、支援制度の創設と同時に、既存の租税特別措置の整理も進められました。期限の延長だけを拾うと、廃止された制度や割合が変わった制度を見落とします。
海外市場開拓準備金などを廃止
政府要綱は、中小企業等海外市場開拓準備金などの廃止を掲げています。既に積み立てた金額の扱いは、経過措置と合わせて確認する必要があります。「廃止」とあるだけで、過去に適用した年度の処理まで一律に取り消すと理解しないようにしましょう。
研究開発や設備投資の対象を見直し
試験研究費に関する特例は、対象資産の範囲の見直しと期限延長が示されました。特別償却についても、一部の設備では償却割合や対象が変更されています。制度名が継続していても、前年に適用できた設備が翌年も同じ割合で対象になるとは限りません。
確認する資料と計算
当時の企業の税負担を調べる場合は、会社の決算資料と制度の条件を対応させます。一般的な減税の説明だけでは、個別の会社にどの措置が適用されたかは分かりません。
- 対象製品と輸入実績をそろえる。輸入促進税制では、対象製品に当たるかと基準年度からの増加が重要です。輸入明細や製品分類を確認し、会社全体の仕入額の増加だけで判断しないようにします。
- 税額控除と償却を別々に比較する。税額から差し引く措置と、所得の計算に影響する償却措置では、計算の段階が異なります。法人税額や資産の償却計画を使って、その事業年度と後の年度への影響を整理します。
- 特例の期限と経過措置を確認する。取得日、輸入した年度、決算期が違えば適用関係も変わります。廃止・縮減された制度については、過去の積立額や資産がどの規定に引き継がれたかを確認することが必要です。
出典と制度の背景
政府要綱で制度の対象と措置を確認し、国会会議録で輸入促進を通じた競争と消費者利益についての説明を確認しました。与党大綱は平成元年12月19日、政府要綱は平成2年1月12日に決定されています。







